STD(性感染症)

性器ヘルペスの症状(水ぶくれ・ただれ)と再発する原因

一般的に性器ヘルペスは、症状が重症化することはあまりないSTD(性感染症)です。しかし、体内に単純ヘルペスウイルス(HSV)に対する免疫ができていない初感染時には、症状が比較的強く表れる傾向にあります。

HSV2型は性器に症状が現れる

通常はウイルスに感染して4~7日程度で、性器を中心とした部位にピリピリとした痛みが出た後に水ぶくれ、赤い発疹、ただれが現れます。リンパ節が腫れたり、発熱、全身の倦怠感などが現れることもあります。抗ウイルス剤のゾビラックス、バルトレックスなどの治療で2~4週間もすれば治癒します。

しかしなかには初感染であっても、発疹が少し現れたり、下半身に違和感を感じる程度で済む人や全く症状が現れずに自然に治癒する人もいます。本人は単純ヘルペスウイルスに感染し、潜在的に保有していることは気づかないので、パートナーも性器ヘルペスに感染する可能性があります。

性器ヘルペスはしつこく何度も再発するのが大きな特徴です。再発は、神経節(神経細胞)に潜伏していた単純ヘルペスウイルスが再活性することが原因ですが、ウイルスが再活性する理由としては、発熱、セックス、過労やストレス、紫外線、歯科治療などが挙げられます。

発熱、セックス、過労やストレスは体の免疫力を低下させるため、それまで抑えられていた単純ヘルペスウイルスが活発に動き出してしまうからです。紫外線も皮膚にダメージを与えることで免疫力が低下するため、結果としてウイルスが再活性するきっかけとなります。歯科治療は、麻酔注射や神経を抜く際の刺激で、ウイルスが再活性することがあります。

単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)と2型(HSV-2)の違い

単純ヘルペスウイルス(HSV)には、1型と2型の2つのタイプがあり、症状が現れる場所が異なるといった違いがあります。ウイルスに初感染した時は、1型と2型に関係なく体のどこにでも感染し、そこで水ぶくれ、発疹などの症状が現れます。しかし、1型と2型とでは潜伏する神経節が異なるため、再発時に症状が現れる場所が違ってくるのです。

下半身のピリピリした痛みが特徴

単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)は、三叉神経の神経節に潜伏することが多いのが特徴です。三叉神経は脳から目神経、上顎・下顎神経につがなっているため、1型ウイルスが再発した場合には、顔を中心とした上半身に症状が出やすい傾向にあります。

一方、単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)は、要仙骨神経の神経節に潜伏するため、性器、肛門の周囲、お尻、太腿などの下半身に症状が出ます。1型ウイルスと比較して、2型ウイルスは症状は軽いものの、再発の頻度が高いという特徴があります。

2型ウイルスは、主にセックスで感染します。セックスの若年化やパートナーの多数化、経口避妊薬(ピル)の普及によるコンドームの使用率の低下などの影響で、若い世代を中心に感染者は増加しています。

感染が増加する原因としては、最初に1型と2型のどちらのウイルスに感染したのかも関係しています。1型ウイルスに感染している人は、2型ウイルスにも感染しますが、その逆は起こりずらい傾向にあります。

問題は、2型ウイルスに感染した場合、症状が比較的軽い、あるいは無症状(痛みを伴う水ぶくれがない)のこともあるため、本人は単純ヘルペスウイルスの感染を知らないまま、セックスや類似性行為(オーラルセックスなど)でパートナーを感染させてしまうのです。

単純ヘルペスウイルス2型に感染している人の約70%は、無症状の単純ヘルペスとされています。なお、無症状の人が保有するウイルスでも、感染させてしまったパートナーには症状が出ますので、パートナーが皮膚科や性病科、婦人科を受診してヘルペスウイルスの感染が確認された場合には、もう一方のパートナーも必ず医療機関で検査を受ける必要があります。

性病のリスクが高い女性は婦人科で年1回の検査を!

女性の性感染症は症状が出にくいため、知らないまま感染が進行しやすいという厄介な点がありますが、性感染症を予防するうえでも女性は難しい点があります。それは性感染症の最大かつ最も基本的な予防策であるコンドームの使用は、男性側に決定権があるということです。

パートナーの性病感染を予防

女性用のコンドームも一時的に国内で販売されましたが、全く普及しませんでした。男性は「コンドームを付けると気持ちよくない」、「セックスの最中に付けるのは面倒くさい」、「中出しはしない(=膣外射精)から、妊娠や性病のリスクはない」などの理由でコンドームを使用しないことが度々あります。

新しい彼氏ができたり、自分以外にも複数の女性とセックスをしていそうな男性と関係を持つときは、必ずコンドームを使用すべきです。また自身も特定のパートナー以外にも複数の相手とセックスをしている場合は、性感染症を早期発見・治療するためにも、年に一度は婦人科でクラミジアや淋病、HPV、HIVの検査(採血、おりものの検査、細胞診など)を受けるべきでしょう。

婦人科で専門医の診察を受ける代替手段として、ドラッグストアで購入可能な市販薬や検査キットを利用するのはあまりお勧めできません。特に市販薬は、自分の症状がその市販薬が対象としている性感染症だと自己判断していても、実はよく似た症状を呈する他の病気だったという可能性があり、その場合は病気を悪化させるリスクもあります。

膣内を清潔にするために携帯用ビデで膣内洗浄を行う方もいますが、頻繁に洗浄すると膣内を酸性に保っている善玉菌(デーデルライン桿菌)も洗い流してしまう恐れがあります。またクラミジア感染症に感染している状態で膣内洗浄をすると、骨盤炎症性疾患を起こす可能性もあります。

おりものが増えたときも、症状は厄介(膣の激しいかゆみ)なものの悪性度は低いカンジダの感染と自己判断して安心するのは禁物です。最近はカンジダ膣炎や膣のかゆみのクリーム、膣錠などの治療薬を薬局で購入して自分で治療する女性が増えているため、淋病などのより危険な性感染症を早期に発見できる機会が失われているのではないかという、専門家の指摘があります。

性感染症に対する悪い要素ばかりが目立つようですが、対策が功を奏している一面もあります。例えば、HIV感染症はHAART療法(多剤併用療法)により、AIDSの発症を抑えながら日常生活を送ることが可能になりましたし、子宮頸がんもその原因の過半数を占めるHPV16型と18型に対する予防ワクチン(ガーダシルとサーバリックス)が開発されました。またB型肝炎ウイルスの予防ワクチンも医療従事者の間で積極的に接種が行われています。

かつては”エイズ大国”と揶揄されたタイでは、国家が資金を投入する形でコンドームの使用を呼びかける大規模な運動を行うとともに、性風俗産業で働く女性にコンドームの使用を強制することで、HIVの新規感染者、AIDS発症者を大幅に減らすことに成功しました。

おりものは性病の原因菌の侵入を防ぎ膣内環境を守ります

健康な女性ならば誰にでもある「おりもの」は、膣や子宮頸管の粘膜などから出る分泌液が混じったものです。おりものは、初潮を迎えるころから出始めますが、小学生のころから出る女の子もいます。

デリケートゾーンの悩み

人間の体には分泌腺があり、目にほこりなどの異物が入った時には涙を分泌するといったように防御反応を示すことで、体を異物から守っているのです。おりものも同様に、膣に細菌が侵入したり、繁殖するのを防ぐ役割を担っているのです。女性の膣口は尿道口、肛門などに近い場所に位置しているため、細菌が侵入しやすい環境になっています。

また、おりものには膣に潤いを与えることで、セックスの際の痛みを緩和するなどの役割を果たしています。このように、おりものは。決して不快で鬱陶しいものではないのです。

他人のおりものを目にする機会は普通はないので、どういった状態が正常、あるいは異常なサインは何なのかはわかりずらいと思います。おりものの色や臭いは、月経周期で変化しますが、一般的に健康な女性のおりものは、無色から乳白色をしており、甘酸っぱい臭いがあります。

排卵前になると、ドロリとした状態のおりものになり、量も増えてきます。月経前になると、臭いは少し強くなり、黄色っぽくなる傾向にありますが、これは健康な状態ですので心配することはありません。

体調を崩すと、免疫力が低下して細菌が膣内に侵入しやすくなるため、防御反応としておりものの量は増えてきます。また、血が混じったおりものが出たり、茶色、褐色、黄色い膿状、ヨーグルト状、泡がたつ、生臭いなどのおりものが出る場合は、クラミジア感染症や淋病、膣カンジダ症、膣トリコモナス症の可能性もあるため、婦人科でおりものの検査を受けましょう。

下着を汚さないようにするため、多くの女性がおりものシートを使用しています。最近のおりものシートは肌触りもよいので、ついつい長時間着用してしまいがちですが、蒸れて細菌が繁殖して膣炎や外陰炎、皮膚のかぶれの原因となります。おりものシートはこまめに交換しましょう。

膣の中には、膣を酸性に保つことで、細菌の侵入をシャットアウトする「デーデルライン桿菌」という善玉菌が働いています。しかし、せっかく膣内環境を保っている善玉菌がいても、デリケートゾーンのにおい対策として、膣を石鹸で洗ったり、膣内ビデで洗いすぎると、せっかくの膣の自浄作用が損なわれて、悪玉の細菌が繁殖する原因となってしまいます。

デリケートゾーンの表面はうすい粘膜の層で構成されているので、洗いすぎは粘膜を傷つけて細菌の感染が起こりやすくなり、デリケートゾーンが赤くただれたり、腫れたり、痛みがあるなどの症状を引き起こしかねません。

膣炎は膣内の自浄作用の低下などが発症の原因

膣炎にはいくつかの種類がありますが、大きく分けると「感染性」のものと「外傷性」のもの、生理的な老化現象である「萎縮性」の3つのタイプがあります。このなかで婦人科で診察する機会が最も多いのは、主にセックスで感染する感染性の膣炎です。

オリモノの変色やニオイの症状

しかし、感染性の膣炎であっても、セックスとは関係なく、過労や睡眠不足、風邪などで体力が低下したり、免疫力が弱っているときなどに、体に元々いる真菌が増殖して、膣のかゆみ、黄色いおりものの増加、おりもの においがきつくなるなどの症状が現れることがあります。

人間の体は、弱っている部位に病気を発症しやすくなっていますが、女性では膣や膀胱などに病気が起こりやすい傾向にあります。これはデリケートな場所の異常を早期に危険を察知してサインを出すことで、女性にとって大切な子宮を守るという防御反応でもあります。したがって、膣のかゆみ、おりものの異常を煩わしいとだけ思わず、重大な病気に至る前に危険を教えてくれているとプラスに考えることも大切です。

細菌性膣炎
カンジダ、トリコモナスといった特定の菌ではなく、大腸菌やブドウ球菌、連鎖球菌といった一般的な細菌が原因で起きる膣炎を「細菌性膣炎」といいます。風邪を引いたりして、細菌に対する免疫力が低下しているときに起こしやすくなっています。

女性の膣には本来、おりものによる自浄作用が機能しており、細菌の侵入や繁殖を防いでくれていますが、免疫力が低下すると自浄作用の機能が損なわれ、善玉菌が減少して、悪玉の菌が増殖してしまいます。閉経後の女性は、女性ホルモンの分泌が低下して自浄作用が十分ではないため、特にかかりやすくなります。

細菌性膣炎の症状としては、黄色や緑色、茶色などの色がついたおりもの(感染した細菌によって色は異なる)、悪臭がするおりものが増加します。また、外陰部が炎症によって赤く腫れたり、ただれて痛痒くなることもあります。オリモノを採取して培養すれば、原因菌を特定できますので、それにあった抗生物質などで治療します。

異物による膣炎
生理中に使用したタンポンを出し忘れたり、セックスの最中にコンドームが外れてしまいそのまま膣内に残ることで、膣内の環境が悪化し、細菌が増殖することで起きる膣炎です。悪臭がするおりもの、黄色、黄緑色のおりものが増えます。炎症の原因となる異物を取り除き、膣内を洗浄すれば治ります。

老人性膣炎
閉経を迎えた女性の卵巣は、徐々に萎縮して機能が低下します。卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌も減少し、膣の粘膜も萎縮して分泌物が減ります。その結果、膣の自浄作用が失われて、閉経前の女性に比べると細菌感染を起こしやすくなります。萎縮した膣粘膜は傷がつきやすいため、セックスの刺激がきっかけで炎症を起こすこともあります。

症状としては、黄色っぽいサラサラしたおりものが増えたり、血の混じったおりものがでます。子宮体がんでも同様の症状が出るため、婦人科ではおりものを採取して、両者の診断を付けることが大切です。膣炎の場合は、卵胞ホルモン剤の内服で、分泌が少なくなったホルモンンを補ってやると、症状が和らぎます。